映画「ぼくのおじさん」良作でした。笑いたい人はぜひ映画館へ!【ちょいネタバレ】

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ども!キヨスイ(@kiyosui_goraku)です!

 

唐突ですが...

もっと自由に書いていきたい!という想いが強くなってきたので「超映画批評批評」は一旦やめます。

前田さんの批評は大好きですが、批評とか感想文とか気にしないで自分なりに映画のことを書いていきたいという気持ちのが強くなってまいりました。

 

ってなわけで、「ぼくのおじさん」観てきたました!

「ぼくのおじさん」スタッフ・キャスト

原作 北 杜夫

監督 山下敦弘

出演 松田龍平、大西利空、真木よう子、戸次重幸、寺島しのぶ、宮藤官九郎、戸田恵梨香

「ぼくのおじさん」あらすじ

担任のみのり先生(戸田恵梨香)から、学校の作文コンクールの宿題を課せられた小学生のぼく=春山雪男(大西利空)。「自分のまわりにいる大人について」というのがテーマ。
公務員の父(宮藤官九郎)と専業主婦の母(寺島しのぶ)では面白いものが書けそうにない。

居候しているぼくの“おじさん”(松田龍平)は大学の非常勤講師。哲学を週に一コマ教えているだけで、いつも万年床でゴロゴロして、ニャム(うちのネコ)よりも働かない。おまけに超貧乏でケチ、ドジで運動神経もゼロ。いつもくだらないイタズラをしてはぼくや妹よりもお母さんに叱られて、お説教をされても反省するどころか屁理屈ばかりこねている。雪男は、そんなおじさんを題材に『ぼくのおじさん』という作文を書くことにする。

そんなある日、おじさんにお見合い話が持ち上がった。苦手な智子おばさん(キムラ緑子)からの紹介で乗り気でないおじさんだったが、目の前に現れたのはハワイの日系4世で絶世の美女・稲葉エリー(真木よう子)。雪男の心配をよそにおじさんはエリーに一目惚れ!だが、エリーは祖母が経営するコーヒー農園を継ぐためにハワイへ帰ってしまう。エリーに会いたい一心で、あの手、この手を駆使してハワイへ行く策を練るおじさんだが、ことごとく失敗で落ち込むばかり。

・・・だがある日、奇跡が訪れ、ハワイに行けることに!おじさんと雪男はエリーを追いかけてハワイへ行くが、そこになぜか和菓子屋の御曹司、青木(戸次重幸)もやってきた!どうなるおじさんの恋?

 引用:ストーリー|映画『ぼくのおじさん』公式サイト

 

このあらすじを見る限り、観る人を選ぶ映画感がプンプンしています。日常をどれだけ、非日常にするかというものは演者の力がとても重要になってきますからね。

激しい映像演出などで誤魔化すことができません。映画館のチケットを買う際に「松田龍平さんに裏切られたなら、しょうがない」と決心してチケットを買いました。

出演者を見る限り、ハズレるわけのないキャストだったのでルンルンで映画館を出てくることができるのを想像して劇場に入っていきました。

松田龍平が無双モード

松田龍平さんはもう頭一つ抜け過ぎていますね。この映画では完全に無双モードでした。

誰も寄せ付けない演技力、何度も背中で語る演技。こんなにもこの人は演技というツールで人を笑わせることができたのか!?と今までの松田龍平像をぶっ壊してくれるくらいの素晴らしい演技でした。

ダメなやつを演じることで鉄壁の力を持っているのは「森山未來」です。

が...今回の松田龍平さんのダメなやつは「こんなヤツいねぇ...よ」っていうダメなやつであって、「あ〜いるいる!」とはならないタイプなので、森山未來さんとは全く違うダメなヤツだったんですよね。

 

そう!これがまさに「シティーボーイズ」、「モンティーパイソン」や三木聡さんの作品に出てくるダメ系統なんですよ。

次回作の三木聡映画は、是非とも「松田龍平」さんを主演で作って欲しいと映画館で叫びたくなるほどに笑いが止まらなかった。

大西利空とのバディが最高

「ぼくのおじさん」というタイトルなので想像がつくかと思いますが、この映画は基本的にバディ映画です。

『ぼく』が大西利空くん演じる『春山雪男』。『おじさん』が松田龍平さん演じる『哲学者』

この二人のバディがものすごく、バランスの取れたバディだった。しっかりとおじさんのダメさを強調できるように雪男が少し大人びた小学4年生を演じてくれている。

大人と子供のバディ映画は腐るほどあるわけだが、子供と大人のバディ映画はなかなか珍しい。大人の方がどんなにダラシない役であっても、いざって時は子供役をどうにか助けてあげたり、大人として前に立つことがあるものだ。

しかし、全くとと言っていいほど、この映画ではいざという時はやってこない。どんな時も松田龍平演じる『おじさん』は『雪男』に助けられている。

ここまで、片方に頼りきっているバディなのに『おじさん』をメインにストーリーが進んで行く。

このバディバランスを作った、山下敦弘監督は素晴らしい配役と演出をしたと言っていいでしょうね。

ハワイに行くまでは終始、笑えます。

映画の中盤から、真木よう子さん演じる『エリー』に会い『雪男』と『おじさん』はハワイに行くのですが、このハワイに行くまでが終始、笑えます。

僕は映画館で笑いが止まらなかった。この笑いの種類が、上記にも書いた三木聡監督の作品の笑いととても近いものを感じるものがあったのだ。

もちろん、原作や脚本の力があることは間違いないが、松田龍平の演技が本当に笑える。

この映画を観る前に三木聡映画をひとつでもいいから、観てほしい。笑いの共通項がとれるはずです。

 

ハワイに舞台を移してから、やはり笑いどころが減ります。大きな展開のあとに笑いが減ることは多いですよね。ここから少し恋愛ものに変わるんですよ。

まぁーこんな恋愛ものないでしょ。って突っ込んでしまいたいほどのコメディタッチですが!

タバコが欲しいがためにマリファナに辿り着いてしまう、おじさんなんかいませんもんね。

さすが哲学者!

松田龍平さん演じる『おじさん』は哲学者であり、大学で非常勤講師として哲学を教えています。

『エリー』と日本で出会ったときにハワイの大学に行くと嘘をつきます。もちろんそんな予定は全くないんですけど。

ハワイに行くためにどうしたらいいのか?というのを『おじさん』は考えます。

 

ハワイに行くためにどうするかの中で選択肢ってたくさんありますよね。中でも一番多くの人が実行しそうなのは「働いてお金を貯める」ということ。

 

ただ『おじさん』は働きません。懸賞に頼って、ハワイに行こうとするんです。ある飲料メーカーがハワイの懸賞をやっていることを知り、昼間にそのメーカーのジュースを飲んでいる人たちを巡ってシールを集めるんですよ。

さらに哲学とはなんぞや?ということを使って、大学の講義でボランティア活動としてシールを集めることを推奨しはじめる。

こうやってあらゆる手を使って、懸賞のシールを集めて何千通、何万通という(おそらく)ハガキを送ってハワイを狙いにいきます。

 

もちろん『雪男』には、ハワイって普通に働けばいけるとこだよ?ってなんども言われますが、無視して懸賞を集めます。

 

映画の中とはいえ、この状況を観てあなたはどう思いますか?

僕は、『おじさん』にとって一番可能性があり、最短距離で向いている手段を選んだなと感心していました。

兄の家にずっと居候して、怠けているおじさんには働くということはモチベーションがあがりません。

全く上がらないと言っても過言ではないでしょう。こんなもの可能性はゼロに近いんですよ。

ここで懸賞という選択肢はものすごく感心しました。働けばもちろん、ハワイには行けます。ただ『おじさん』からすると「君はね...」という感じでしょう。

 

笑いどころだけではなく、こちらを考えさせる一面もあるこの映画。オススメです。

最後に

最近の日本映画では、「怒り」に並ぶほどの良作でした。ぜひ、この映画を観ることをオススメします。

もちろん、観る人を選ぶ映画ですね。三木聡作品、モンティーパイソン、シティーボーイズなどに引っかかる人はマストでみてください。

 

▼原作はこちら

出典:映画『ぼくのおじさん』公式サイト